フィリップ・シャルロパン


「ブルゴーニュの神様」と呼ばれる故アンリ・ジャイエの想いを引き継いだ愛弟子

■フィリップ・シャルロパンとは

フィリップ・シャルロパンはジュヴレ・シャンベルタン村に本拠地を置く造り手です。1976年、彼が20歳の時、父親が病気を患ったため家族が経営するマルサネ村の小さなドメーヌの責任者となりました。

僅か1.5haの畑からの始まりでしたが、少しずつ畑を買い足し、今ではマルサネ、フィサン、ジュヴレ・シャンベルタン、モレ・サン・ドニシャンボール・ミュジニーヴォーヌ・ロマネの25haにおよび、8つのグラン・クリュを含む35のアペラシオンのワインを造るまでになりました。

2006年には醸造施設を新設。家族経営でありながら、大規模なドメーヌ並みの大きなもので、所有する140もの区画の畑のブドウを分けて発酵させる為のステンレスタンクがずらりとならぶ様子は圧巻です。


■大量生産時代のブルゴーニュで光ったフィリップの強い個性

彼がドメーヌを継いだ1970年代というと、ブルゴーニュは大量生産して儲けることが最重要視されていた時代でした。薄く水っぽいものや劣化しているワインが横行し、ブルゴーニュワインのイメージは悪くなる一方でした。

フィリップはもともと好奇心旺盛で、積極的に他の地方のワインにも関心を持っていました。骨太で色鮮やかなワイン造りを目指す彼の方向性と似ていた、力強いボルドーワインは彼の興味を大きく引いていました。そのため、彼のティスターとしての実力は多方面で認められています。

同時に、非常に注意深く繊細な知識も兼ね備えた彼が造るワインは、当時のブルゴーニュワインとは一線を画し、ワイン愛好家たちに強い印象を与え、一躍有名になったのは言うまでもありません

そんな彼の運命を決めたのが「ブルゴーニュの神様、アンリ・ジャイエ」との出会いです。

■「ブルゴーニュの神様」故アンリ・ジャイエの愛弟子

フィリップ・シャルロパンと言えば、「ブルゴーニュの神様」と呼ばれる故アンリ・ジャイエの愛弟子だったことでも広く知られています。アンリ・ジャイエとの出会いは1986年、フィリップが30歳の時でした。

アンリ・ジャイエのワインを何度も飲み、きらきらと光るまなざしでワインを語る彼と話をするたびに、自己主張の強い自分のワインより、テロワールとクリマの良さを最高に引き出したアンリが造るワインに強く惹かれるようになります。

そして、アンリ・ジャイエも多くの志の高い若き生産者たちに、自分の持てる全てを教えたと言われています。当時低迷していたブルゴーニュ復活の礎を作ったアンリ・ジャイエが『ブルゴーニュの神様』と言われるのと同時に、彼に教えを乞うたフィリップ・シャルロパンのような若い生産者にとっても、その存在自体が神様だったのではないでしょうか。

ここで、フィリップ・シャルロパンに強い影響を与えたアンリ・ジャイエの功績をひも解いていきましょう。


現役当時の故アンリ・ジャイエ。

■アンリ・ジャイエの功績

先ほども少し触れましたが、1970年代~1980年代はブルゴーニュの低迷期と言われ、多くの生産者が大量生産をして利益ばかりを優先していた暗黒の時代でした。

畑は大量の農薬や除草剤で荒れ、葡萄の根はやせ細り、大地の栄養分を吸収することができないため、収穫された葡萄は水っぽくなってしまいました。水っぽい葡萄からは美味しいワインなどできるはずもなく、すぐに酸化してしまうため、これを防止しようと大量の酸化防止剤(SO2)や添加物を使用することになり、どんどん粗悪になっていったのです。

そんな中で、一人地道に畑作業をし荒れた畑を蘇らせ、高品質なワインを造り出し、ブルゴーニュに一筋の光を見出したこの時代の救世主こそがアンリ・ジャイエだったのです。

アンリは小作人というブルゴーニュの貧しい農家というイメージのブルゴーニュワイン生産者達に、卓越したワインを造れば経済的にも成功できる!ということを身をもって体現し、後続の造り手たちに希望と勇気を与えました。

テロワールはワインを生み出す主体であるが、それを描き出すことが出来るのは造り手の栽培技術と醸造技術であるという彼の考え方が、テロワール第一主義だった、フランスのワイン界全体の思想を変えた瞬間でもありました。

ブルゴーニュで初めて、造り手個人が主人公となる時代の幕開けでした。

そしてフィリップ・シャルロパンを始め、志の高い造り手たちが続々とアンリの手法で高品質なワインを造り始め、今日のブルゴーニュワインのスタンダードになっていくのです。

■アンリ・ジャイエから学んだこと

アンリの持つ人間的魅力にも多くの人が心酔しその教えを学びましたが、その中でもフィリップ・シャルロパンは特にアンリに傾倒した一人。アンリから多くの事を学び、その手法を今も受け継いでいます。その手法とはどのようなものなのか、ここで見ていきましょう。

①リュット・レゾネ(減農薬農法)での栽培

ブルゴーニュの暗黒の時代を作った一つの要因は農薬と化学肥料の多用でした。

アンリ・ジャイエがまず行ったことは畑の農薬、除草剤を減らすことでした。今、多くの生産者が行っているリュット・レゾネの先駆けです。小さな生産者が、小さな区画でワインを造っているため、病害虫の蔓延は大きな痛手となります。

そのため、ブルゴーニュでは完全に農薬などを使わないビオディナミの考え方より、必要な時にだけ、少量だけ使用する「リュット・レゾネ」の方がフィットしていたのです。

②収穫量の制限

次に行ったことが収量制限です。凝縮した健全なブドウを収穫するため、ブドウの収穫量を減らします。ブドウは一本の樹に実(房)を多くつけてしまうとブドウの粒の皮が薄くなり、色も味も薄い味気ないワインになってしまいます。

逆に、実(房)を間引き収穫量を低く抑え、1つの房に栄養分を集中させる事によって皮が厚く健全なブドウになり、病害に強くなります。収穫したブドウからは色も味も濃い凝縮感のある果汁が獲れ、テロワールが綺麗に映し出されたワインになるのです。

➂ブドウの実を潰さない収穫方法の採用

当時は、大量に実ったブドウを季節労働者が大きなカゴにブドウを投げ入れて収穫する光景が一般的でした。投げ入れることによりブドウは傷つき、大量に入れられることで、自らの重さで潰れ即座に酸化し劣化が始まるのです。

アンリは小さなカゴを大量に用意し、ブドウが自重で潰れない位の量を入れてそっと醸造所まで運びました。ブドウが傷つき酸化してしまうことを最大限に防ぐ方法を考えていたのです。

同時に、腐敗果や未熟果を収穫の際にはじき、収穫しないことで、選果も畑で同時に行うことを徹底したのです。



④選果台の導入

また、いち早く選果台を取り入れたのもアンリでした。収穫時にも腐敗果や未熟果を収穫の際に選別することを徹底してはいても、なかなか除ききれないこともありました。そこで、導入されたのが選果台です。

ベルトコンベアでブドウを流し発酵槽まで運びますが、このコンベアの脇に何人か作業員が立ち、腐敗果や未熟果やゴミなどを徹底的に取り除くための流れる作業台の事を「選果台」と呼んでいます。

選果台の導入によりワインの醸造に適さないブドウの実が選別され、良質のブドウのみで醸造することが可能になりました。今では、当たり前のことですが、当時からすると非常に画期的な方法だったのです。

現在フィリップの醸造所ではボルドーのトップシャトーで使われる、光学式の選果台を使用するなど、師の教えを守り選果には特に気を使っています。



⑤低温浸漬(コールドマセレーション)による抽出

低温浸漬(コールドマセレーション)とは発酵前の準備段階の工程で、果汁を15度位の低温に保つ醸造方法の事です。低温に保つことで、果実味が増し、舌触りも滑らかになり、色合いも綺麗になることに気が付いたアンリ・ジャイエが始めた醸造技術のことです。

⑥完全除梗での発酵


ブルゴーニュでは古くからの伝統でブドウの粒と茎(梗)を一緒に発酵させる全房発酵が行われていました。全房発酵を行うためには、茎まで完熟させることが条件です。完熟した房全体で発酵することにより、複雑で奥深い味わいを表現することが可能です。

その反面、完熟していない茎は、ワインに強い苦味や野菜的な青い匂いを与えてしまうのです。当時は「完熟させなければ」と言う意識は無く、熟していない茎で全房発酵を行ったことによる青臭いワインが多く存在していました。

アンリは青臭さの無い、透明感のあるワインを造るため、ブルゴーニュの伝統であった全房発酵をやめ、ブドウの房から粒を外し粒のみで発酵させる完全除梗で発酵を行うことにしました。ブドウの粒のみで発酵させることにより澄んだ味わいのワインを造り出すことが可能になったのです。

⑦様々なクローンを持つブドウの木を混植する(マサールセレクション)

アンリが教え子に推奨した高品質なのブドウを栽培するためのとても重要なことが、1つの畑に複数の種類のクローンを持つブドウの木を植えるマサール・セレクションです。色々な遺伝子を持つブドウの木を植え、長く育てていくことでブドウの木同士が切磋琢磨して、その土地に合ったクローンが生き残り、より個性的で味わい深く病害にも強いブドウの実をつけるようになるのです。

しかし複数のクローンが一区画に存在するということは、それぞれの育つスピードや収穫時期が異なり、畑の管理により手間と時間を要します。アンリはこの手間を惜しまず最高のブドウを収穫するために力を注ぎ続けました。

マサールセレクションの逆がクローン・セレクションです。1つの畑を1つのクローンで統一する方法です。それによりその畑のブドウはすべて同じ速度で育ち、同じ質、同じ味のブドウが実ります。それによって収穫を一気に行えたり、安定的な醸造を行えるといったメリットがあります。

しかし遺伝子の多様性がないゆえに、病害に弱く新種のウィルスや虫の害によって畑が全滅してしまったり、ワインの味わいの単調化にもつながります。

当時のブルゴーニュでは1つのクローンばかり植えていて、それが美味しくないワインと、病気に弱い畑に農薬を多用する悪循環に陥っていたのです。

⑧酸化防止剤(SO2)の添加を低く抑える

これも重要なことの一つで、酸化防止剤(SO2)の添加を極力抑えることがあげられます。これができたのも、地道な畑作業を積み重ねた結果、病気になりにくく、劣化しにくい、植物としての免疫力(体力)のあるブドウを育てたからこそ、添加量を減らすことが出来たのです。しかし当時はこの概念もほとんど無い時代でした。



  • Philippe Charlopin Bourgogne Côte d'Or Rouge 2020フィリップ・シャルロパン ブルゴーニュ コート・ドール ルージュ 2020

    濃いベリー系果実やスパイス、シナモンに彩られた味わいは緻密かつ繊細。樹齢50年の古樹のから造られるコート・ドール・ルージュ

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / コート・ドール
    造り手
    フィリップ・シャルロパン【Philippe Charlopin】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2020年

    商品コード: fow1405

    希望小売価格(税込):¥8,415

    販売価格(税込):¥7,574

    在庫:残り4個

    数量

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / コート・ドール
    造り手
    フィリップ・シャルロパン【Philippe Charlopin】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2020年
  • Philippe Charlopin Gevrey Chambertin Terres Blanches 2020フィリップ・シャルロパン ジュヴレ・シャンベルタン テール・ブランシュ 2020

    アンリ・ジャイエから受け継いだ、低温マセレーションによるシルキーな酒質と、見事な凝縮感に深くリッチな甘さのあるワイン。

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / ジュヴレ・シャンベルタン
    造り手
    フィリップ・シャルロパン【Philippe Charlopin】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - フルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2020年

    商品コード: fow1412

    希望小売価格(税込):¥15,950

    販売価格(税込):¥14,355

    在庫:残り1個

    数量

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / ジュヴレ・シャンベルタン
    造り手
    フィリップ・シャルロパン【Philippe Charlopin】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - フルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2020年
  • Philippe Charlopin Marsannay En Montchenevoy 2019フィリップ・シャルロパン マルサネ アン・モンシュヌヴォワ 2019

    樹齢なんと90年!マルサネの優良畑、ロンジュロワとクロ・デュ・ロワに挟まれた素晴らしい畑、モンシュヌヴォワの滋味溢れる味わい。

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / マルサネ
    造り手
    フィリップ・シャルロパン【Philippe Charlopin】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - フルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2019年

    商品コード: fow1352

    希望小売価格(税込):¥10,362

    販売価格(税込):¥9,326

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    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / マルサネ
    造り手
    フィリップ・シャルロパン【Philippe Charlopin】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - フルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2019年
  • Philippe Charlopin Chassagne-Montrachet 2020フィリップ・シャルロパン シャサーニュ・モンラッシェ 2020

    パイナップルやマンゴーの充実した南国フルーツ満載!ややコッテリした飲みごたえ。レモンクリームのような質感がいい感じ!!

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / シャサーニュ・モンラッシェ
    造り手
    フィリップ・シャルロパン【Philippe Charlopin】
    タイプ
    白ワイン / 辛口 - フルボディ
    品種
    シャルドネ100%
    生産年
    2020年

    商品コード: fow1415

    希望小売価格(税込):¥16,390

    販売価格(税込):¥14,751

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    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / シャサーニュ・モンラッシェ
    造り手
    フィリップ・シャルロパン【Philippe Charlopin】
    タイプ
    白ワイン / 辛口 - フルボディ
    品種
    シャルドネ100%
    生産年
    2020年
  • Philippe Charlopin Vosne-Romanée 2020フィリップ・シャルロパン ヴォーヌ・ロマネ 2020

    ヴェルベットのような質感。複雑でリッチなアロマ。ヴォーヌ・ロマネの華麗な余韻はいつまでも残り続ける。

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / ヴォーヌ・ロマネ
    造り手
    フィリップ・シャルロパン【Philippe Charlopin】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - フルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2020年

    商品コード: fow1413

    希望小売価格(税込):¥20,900

    販売価格(税込):¥18,810

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    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / ヴォーヌ・ロマネ
    造り手
    フィリップ・シャルロパン【Philippe Charlopin】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - フルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2020年
  • Philippe Charlopin Chambolle-Musigny 2020フィリップ・シャルロパン シャンボール・ミュジニー 2020

    ダークベリー、ブラックカラントのフローラルなアロマ。濃密でジューシー、きめ細かいミネラルとシルキーなタンニンが溶け込む

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / シャンボール・ミュジニー
    造り手
    フィリップ・シャルロパン【Philippe Charlopin】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - フルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2020年

    商品コード: fow1414

    希望小売価格(税込):¥19,800

    販売価格(税込):¥17,820

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    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / シャンボール・ミュジニー
    造り手
    フィリップ・シャルロパン【Philippe Charlopin】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - フルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2020年

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