ドメニコ・クレリコ
■モダンバローロの確立に繋がる、熱きピエモンテの革命家
■神からの恵みに対して「間引き」という当時のタブーに挑戦からスタート
ドメニコ・クレリコは農夫の息子として生まれました。もともと彼が生まれ育ったランゲ地方はピエンモンテの中でも貧しい地域で、父は果物を栽培し、動物を飼育し、ブドウを生産者共同組合に渡して生計を立てていました。16歳から農園を手伝いながら、レストランのボーイをしたり、オリーブオイル販売をしていたドメニコですが、1976年に父から「そろそろ農園を引き継ぐ気はあるのか?」と尋ねられたとき、「農園ではなく、ワイン造りだけに専念したい。偉大なワインを造りたいんだ」と答えました。それがドメニコをワイン造りに向かわせる第一歩でした。
ワイン造りに強い興味を抱いていた彼は、その時すでにピエモンテの、そして、ランゲの土地の可能性を強く信じ、今までにないワイン造りに静かに燃えていたのです。
こうしてドメニコ・クレリコのワイン造りがゼロからスタートしました。
彼がワインを造るにあたって真っ先に掲げたことは「クオリティーの高いワインを造ること」でした。
当時のイタリアでは、人々は宗教的な理由から、「自然の恵みは神が与えてくれたものである」と代々享受し、感謝しながら生活してきました。もちろんそれはワイン造りにおいても同じで、樹になったブドウの実の全てを大切に収穫しワイン造りをするのが当たり前でした。
しかし、わんさか実ったブドウを全てワインにしたら・・?出来上がるワインのクオリティーは当然低いものしかできませんよね。。。このような宗教的背景に加え、彼らは基本的に貧しい農夫たちなので、少しでも収入を増やすために収穫量を多くすることに重点を置いてブドウを栽培していたのです。
しかしドメニコが目指したのはあくまでも「ワインのクオリティー」です。
そう、彼はこの地方で初めて「グリーンハーベスト」を試みました。グリーンハーベストとは、収穫するブドウの質を上げるために、まだ実が緑色の段階で、いくつか房を切り捨てる間引きのことを指します。このことは、神からの恵みを間引きするという当時のタブーへの挑戦を意味していました。伝統に反した手法を取り入れたドメニコ・クレリコが「モダン派」と呼ばれる所以がここにあります。
しかし、この「グリーンハーベスト」に猛反対する父親との確執が生まれ、父は二度と畑に入ることはありませんでした。そして父親が死ぬまで仲違いしてしまった、まさに人生をかけたワイン造りでした。
グリーンハーベストに始まり、ここから現在に至るまで、彼のワイン造りにおいて施される試みの全てはクオリティーの追求のためなのです。
■バリックがもたらしたもの・・早く美味しく飲めるバローロの誕生
彼のワイン造りにおける変革の中で、グリーンハーベストの次の大きな試みは「バリックの採用」です。彼は、ネッビオーロの熟成を経たフィネスは、ピノ・ノワールのフィネスに通じるものがあると信じ、ブルゴーニュのワイン造りを自分の手本としていました。当時出回っていたバローロは喜ばしい果実味も無く、リリースしてから10年以上経たないと渋いだけで全く飲めるものではないのが当たり前でしたが、彼は喜ばしい果実味と良質のタンニンの、リリース直後から楽しめ、そして20年後にも飲めるワイン造り目指していました。それまでは伝統の大樽で仕込んでいましたが、ブルゴーニュのバリックを求めて、1981年に同志エリオ・アルターレと共にブルゴーニュに向かい、トラックに乗せられるだけのバリック19個を持ち帰りました。
そして初めてバリックを試みたのが1982年のヴィンテージ。
しかし、バリックで仕込んだワイン全てを捨てることになってしまいました。彼は知らなかったのです。ワインをバリックに詰めたのち2、3週間毎にワインを継ぎ足さなければならない(ウイヤージュ)ことを。ワインが蒸発して目減りし、空気に触れて酸化してしまうのです。しかしその頃のピエモンテには、誰もバリックの使い方を教えてくれる人などいなかったのですから仕方ありません。醸造学校の先生でさえバリックの使い方なんて知らない時代でした。
しかし、ドメニコが諦めるわけがありません。
再度ブルゴーニュへ行き、あらゆる情報を集めて再度1983年ヴィンテージを仕込みました。そして大成功を収めたのです。彼がバリックの導入に成功したことで、これまで10年、15年寝かしてやっと飲めるようになるバローロが、より早く美味しく飲めるようになり、そして長い熟成を経てもその真価を発揮する新しいバローロの方向性が見出されることになるのです。
■3つの革新的技術・・バローロ・ボーイズの誕生へ
そして1990年代初頭「ロータリーファーメンターの導入」をしました。温度管理をしてゆっくりと回転しながらマセラシオンと発酵を行うピエモンテ独自の装置です。一定の温度と短い期間でマセラシオンを行うことにより、これまでよりもタンニンが柔らかくエキスがぐっと抽出された、力強く飲みやすいワインを造ることが可能となったのです。
「グリーンハーベスト」「バリック」「ロータリーファーメンターの採用」という3つの革新的な技術を経て、ドメニコ・クレリコ、エリオ・アルターレ、パオロ・スカヴィーノ、ルチアーノ・サンドローネなどの生産者の努力から生まれたバローロは、これまでのものとは一線を画すスタイルとなりました。この早いうちから楽しめる凝縮した力強いバローロは、じわじわと認知されるようになるのです。さらに1995年から 2001年までバローロは7年連続のグレート・ヴィンテージに恵まれたこともあり、マーケットも競ってそれを求めるようになっていきました。
同時にアメリカでドメニコ達のバローロが大流行します。陽気にバローロを飲むドメニコ達を、アメリカ人が親しみを込めて「バローロ・ボーイズ」と呼びました。これが「バローロ・ボーイズ」という呼び名の始まりです。
そして世界中がこのモダンなバローロに熱狂する時代が訪れるのです。
彼らはより高みを目指し、より抽出が強く、よりバリックの効いたワインを世に送り出すことになります。
これこそ、モダン・バローロと、バローロ・ボーイズの存在が確立された瞬間でした。
■「このワイン濃すぎないか?」・・フレンチオーク樽採用でさらに品質に磨き
2004年のある時、ドメニコはいつものように数人でディナーに出かけました。食事の際はワインを1人1本飲む彼らですが・・・その日は 4人で1本さえも飲むことが出来ませんでした。彼は考え、そして気付くのです。というか、うすうす彼は気付いていました。「香りはすばらしい。でも濃過ぎる。樽が強過ぎる。これではネッビオーロ本来のキャラクターを隠してしまっている・・やり過ぎたのではないか。。」。そして 2005年より新樽比率をこれまでの100%から80%に下げることにしました。
しかし出来上がった2005年ヴィンテージを飲んだ彼は、全然満足しませんでした。
「まだ樽が強い。。」。彼はまた考えます。「なぜブルゴーニュのワインは新樽100%でも樽が浮いてこないのだろうか?」。そのまま再度、ブルゴーニュへ向かい、そして次々とワインを樽からティスティングして、いろいろな人の話しを聞き、あることに気付きました。
それは「オークの質が違う」ということだったのです。これまで自分たちが使っていた樽はイタリア向け(一般向け)に作られていたもので、ブルゴーニュではフランス国内専用のオーク樽(フレンチオーク)が使われていました。同じ樽メーカーでもブルゴーニュ専用と、イタリア用とでは木材が違っていたのです。これが決定的な違いでした。イタリア向けのオークの材質はより樽香がつきやすいものでしたが、ブルゴーニュで使われているものはそのような要素がなかったのです。そのため、いくら新樽比率を下げても樽香が浮いてきてしまったのです。
そしてドメニコはブルゴーニュの著名生産者の手助けもあり、ブルゴーニュのみで使用されているバリックを手に入れ、イタリア向けのバリックと、実際ブルゴーニュで使用されているバリックの熟成の違いを実験しました。結果はドメニコが予想していた通り、ブルゴーニュで使用されているバリックを用いることにより、今までの様に樽香が浮いたものにはならなかったのです。彼はようやく自分が満足できるバリックと出会えたのです。
その後もクラシックに回帰していく世の中のニーズに合わせて、クレリコのワインも徐々に新樽率を下げていきます。
そして現在では上級レンジのキュヴェでは新樽率を20%にまで下げました。
1990年代からずっと新樽100%にこだわり続けてきた彼。評価本が高得点をつけ、黙っていても飛ぶように売れていくのに、そのスタイルを変えることを決めたのです。彼は売れるためではなく、あくまでも高い品質を求めて前に進む人だからです。失敗を素直に受け入れ、そこで得た経験を次に繋げていく事が出来る人物なのです。
そんなドメニコも2017年にこの世を去り、世界中のワイン界に深い悲しみを残しました。67歳という若さでした。現在は同じ醸造チームのメンバーが品質、スタイル一切変わることなく引き継いで、ドメニコが目指していた高みに到達すべく邁進しています。
ドメニコのバローロは、私たちを熱狂させたあの輝かしき時代を、今でも誇らしげに語り続けてくれています。
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Domenico Clerico Langhe Dolcetto Visadiドメニコ・クレリコ ランゲ・ドルチェット ヴィサディ
黒色のフルーツを詰め込んだパワフルな果実味のドルチェット。絶妙でちょうどいい果実味の甘さ。
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区(モンフォルテ・ダルバ村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - フルボディ
- 品種
- ドルチェット100%
- 生産年
- 2021年
商品コード: ita0762
希望小売価格(税込):¥3,025
販売価格(税込):¥2,723
申し訳ございませんが、
只今品切れ中です。- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区(モンフォルテ・ダルバ村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - フルボディ
- 品種
- ドルチェット100%
- 生産年
- 2021年
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Domenico Clerico Barolo Monforteドメニコ・クレリコ バルベーラ・ダルバ トレヴィーニェ
表情豊かなベリーや花、甘いスパイスの香り。バルベーラの魅力を再認識できる非の打ちどころがない贅沢な逸品。
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区(モンフォルテ・ダルバ村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - フルボディ
- 品種
- バルベーラ100%
- 生産年
- 2020年
商品コード: ita0761
希望小売価格(税込):¥4,785
販売価格(税込):¥4,305
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区(モンフォルテ・ダルバ村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - フルボディ
- 品種
- バルベーラ100%
- 生産年
- 2020年
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Domenico Clerico Langhe Nebbiolo Capisme Eドメニコ・クレリコ ランゲ・ネッビオーロ カピズメ・エ
クレリコのネッビオーロの素晴らしさを知るのにうってつけのワイン。イチゴやチェリー、プラムなどの甘く力強い香り。
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区(モンフォルテ・ダルバ村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- ネッビオーロ100%
- 生産年
- 2021年
商品コード: ita0763
希望小売価格(税込):¥5,500
販売価格(税込):¥4,950
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区(モンフォルテ・ダルバ村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- ネッビオーロ100%
- 生産年
- 2021年
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Domenico Clerico Barolo Monforteドメニコ・クレリコ バローロ モンフォルテ
全てが畑名クラスの上級バローロに使用されているブドウを使用。並みのバローロを軽く蹴散らす完成度!
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区(モンフォルテ・ダルバ村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - フルボディ
- 品種
- ネッビオーロ100%
- 生産年
- 2018年
商品コード: ita0739
希望小売価格(税込):¥7,975
販売価格(税込):¥7,178
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区(モンフォルテ・ダルバ村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - フルボディ
- 品種
- ネッビオーロ100%
- 生産年
- 2018年
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Domenico Clerico Barolo Ginestra Ciabot Mentinドメニコ・クレリコ バローロ ジネストラ チャボット・メンティン
モンフォルテの東側斜面で最も名高いクリュ「ジネストラ」甘いスパイス、ミネラルが複雑に層をなす香り。
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区(モンフォルテ・ダルバ村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - フルボディ
- 品種
- ネッビオーロ100%
- 生産年
- 2018年
商品コード: ita0740
希望小売価格(税込):¥17,270
販売価格(税込):¥15,543
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区(モンフォルテ・ダルバ村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - フルボディ
- 品種
- ネッビオーロ100%
- 生産年
- 2018年
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Domenico Clerico Barolo Ginestra Ciabot Mentinドメニコ・クレリコ バローロ ジネストラ パヤナ
モンフォルテの東側斜面で最も名高いクリュ「ジネストラ」非常に表情豊かで、ゴージャスかつエレガント
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区(モンフォルテ・ダルバ村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - フルボディ
- 品種
- ネッビオーロ100%
- 生産年
- 2018年
商品コード: ita0741
希望小売価格(税込):¥16,280
販売価格(税込):¥14,652
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区(モンフォルテ・ダルバ村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - フルボディ
- 品種
- ネッビオーロ100%
- 生産年
- 2018年