パオロ・スカヴィーノ
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■バローロの歴史とともに生きてきたバローロ・ボーイズの革新的生産者の物語
■17歳の時に芽生えたワインへの情熱
1941年生まれのエンリコは、小学校を出てすぐに父のパオロを助けて働き始めました。当時のランゲ地方は貧しく、男の子は重要な労働力でした。当時は動物も飼育していたし、果樹栽培も重要で、ブドウ栽培はその一部でしかありませんでした。最初の転機は1958年、この年のブドウの品質は素晴らしく、感動的なワインが出来たのです。17歳の少年はワインへの情熱を持ち始めます。父パオロと話し合い、動物の飼育、果樹栽培をやめて、ブドウ栽培に専念するようになります。徐々にブドウを売るのをやめて、1964年エンリコが23歳の時にはすべてのブドウを自分で醸造しました。「バローロは売れませんでしたが、ドルチェットなどは売れるようになりました」。小生産者としてそれなりに成功するようになりました。■単一畑のバローロが即完売、新しいスタイルのバローロへの渇望
時は1978年、エンリコが当時所有していた畑は3つほどでした。その中で「ブリック・デル・フィアスク」のブドウは常に最高でした。「だから私はどうしてもこれだけを別に醸造、瓶詰めしたくて、ついに1978年に単一バローロを造ったのです」。当時としては非常に珍しい試みでした。幸運にもこの頃ワイナリーを訪れたワインジャーナリストが、この単一畑のバローロを雑誌に紹介してくれました。「その反響が大きくあっという間に売り切れたのです」これは消費者が普通とは異なる新しいスタイルのバローロを渇望していたことの証でした。木樽発酵で20日~30日のマセラシオンを行い、大樽で熟成させた「ブリック・デル・フィアスク1978」はエンリコの中にバローロの原型として深く刻まれることになるのです。エンリコが37歳の時でした。■旧バローロ体質からの脱却、革新家としての歩み
1982年エンリコは41歳、この頃からバローロの志の高い若い生産者達の、革命への動きが活発になります。「近代派」と呼ばれるドメニコ・クレリコ、エリオ・アルターレ、パオロ(エンリコ)・スカヴィーノらを筆頭とする「バローロ・ボーイズ」の台頭です。
近代派と呼ばれるようになる生産者達が歩むべき道を模索していた1970年後半、バローロの生産は大手のネゴシアンが牛耳っていました。ブドウを売るしかない立場の弱い農家から、言いなりの価格でブドウを買うことができたので、自社畑を持つ必要はまったくなく、買ったブドウでバローロを造っていました。「王のワイン」としてのバローロの名声は高かったけど、タンニンが強く渋いだけのバローロは全く売れず、デイリーワインであるドルチェットのブドウのほうが高い値段で売れていました。「王のワイン」として尊敬の念はもたれても実際には飲まれることのないワインになりつつあったのです。
ランゲ地方の若者にとってネゴシアンに絞り取られるだけのブドウ栽培農家に魅力は全くなく、若者は町に出て働きブドウ畑は荒廃しつつありました。
■「自分が美味しい、また飲みたいと思うワインでなければ売れるはずはない」
エンリコらの近代派が考えたことは明確で「自分が美味しい、また飲みたいと思うワインでなければ売れるはずはない」という当たり前の考えでした。しかし昔からの凝り固まった風習に縛られたランゲ地方では、これは常識ではありませんでした。彼らはブルゴーニュワインをバローロのワイン造りの手本としていました。幸いにもピエモンテからブルゴーニュは近く、週末にも行くことが可能な距離です。ブルゴーニュで偉大なワインは喜びを与えてくれるものだという常識に目覚めた彼らは、厳格なだけで、美味しくもなんともないバローロの過ちに気づくのです。そして「おいしくなければワインではない!」を叫び始めます。当時の大手のネゴシアン達は渋くて厳格なバローロこそ王のワインにふさわしいと真面目に考えていたのです。
■ロータリーファーメンターの導入
目指すモデルが異なれば、使用する技術と道具は変わってきます。近代派の生産者たちは、ブルゴーニュ式の栽培と醸造を試行錯誤し始めます。グリーンハーベストを行い収穫量を抑えると、フェノール類が熟し良質なタンニンが得られるようになりました。1993年エンリコが52歳の時、デリケートな抽出を探求し、思いついたのがロータリーファーメンター(回転式発酵槽)です。これを使用することにより、マセラシオン期間を短くして過度の抽出を避けるとワインに良質なタンニンが生まれました。またバリック熟成により酸素を与えることにより柔らかくなりました。このようにしてバローロは徐々に「喜びを与えるワイン」になっていきました。それまでのバローロの生産者はお互いに孤立することを選びました。知識や経験を共有することはなく、むしろノウハウを盗まれないよう警戒していました。しかし世代的にも若かったエンリコらの近代派は違いました。彼らは常に集まり、お互いのワインを試飲し、意見を言い合い、進歩しようとしました。そして何よりワインを楽しみました。世界中の偉大なワインを飲み。そのレベルを目指しました。
自らの名前でバローロを売る近代派は当然栽培に力を入れました。大手ネゴシアンの言い値で買われるだけの栽培農家とは大きな違いでした。そしてバローロは醸造所でブレンドして造られるワインから、畑で造られるワインへと生まれ変わったのです。規模が小さくても優れた仕事をすれば、世界的な名声が得られるという状況を作りだした、ブルゴーニュでのアンリ・ジャイエの功績に近代派の生産者を重ねあわせることができます。
またマルク・デ・グラツィアというブローカーがいたことも重要でした。
世界中のワインに精通していた彼はバローロの近代派の生産者たちに、最先端のブルゴーニュワインを現状を教え、そして出来上がった、喜ばしい美味しさのバローロのアメリカでの大ヒットを導いた先導者でした。エンリコらは彼に連れられアメリカを頻繫に訪れてバローロを飲む喜びをフランクに愛好家に伝えました。バローロのグラスを片手に陽気に騒ぐ若者たちをアメリカ人は親しみを込めて”バローロ・ボーイズ”と呼びました。
■近代派の最大の変革とは
エンリコらの近代派の最大の変革は、畑とバローロを目に見える形で、直接結びつけたことです。グリーンハーベストといった栽培技術や、バリックや回転式発酵タンクといった醸造時術の改革ではないのです。栽培する人、造る人、消費者に語りかける人の一致こそが、あの熱い時代を生みました。近代派の本質はランゲ地方おけるヴィニュロンの誕生なのです。

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Paolo Scavino Barolo Bricco Ambrogio 2013パオロ・スカヴィーノ バローロ ブリッコ・アンブロージョ 2013
暑い夏の2013年ヴィンテージ。凝縮した力強い果実味とタンニン。長く甘美な余韻が魅力!
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区 (カスティリオーネ・ファレット村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- ネッビオーロ100%
- 生産年
- 2013年
商品コード: ita0738
希望小売価格(税込):¥14,894
販売価格(税込):¥13,405
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区 (カスティリオーネ・ファレット村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- ネッビオーロ100%
- 生産年
- 2013年
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Paolo Scavino Barolo Bricco Ambrogio 2016パオロ・スカヴィーノ バローロ ブリッコ・アンブロージョ 2016
2016年はピエモンテの近年最高と言われるグレイトヴィンテージ。酸味、タンニン、果実味のバランス感が抜群!
- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区 (カスティリオーネ・ファレット村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- ネッビオーロ100%
- 生産年
- 2016年
商品コード: ita0737
希望小売価格(税込):¥12,947
販売価格(税込):¥11,652
申し訳ございませんが、
只今品切れ中です。- 生産地
- イタリア / ピエモンテ州 / バローロ地区 (カスティリオーネ・ファレット村)
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- ネッビオーロ100%
- 生産年
- 2016年