自然派ワイン(ナチュラルワイン)とは?初心者向けに解説

話題の自然派ワインとは?
「ヴァン・ナチュール」とは?

皆さん、こんにちは。葡萄屋ソムリエです。
今人気急上昇中の「自然派ワイン」。
「自然派ワイン」は「ヴァン・ナチュール」とも呼ばれます。
では、「自然派ワイン」「ヴァン・ナチュール」とは何のことでしょうか?

初めて聞く方、もっとよく知りたいという方のために、もっとよく知りたいという方のために、分かりやすく徹底して解説します!

「自然派ワイン」を詳細かつ専門的に知りたいという方はこちらの特集でもご紹介しておりますので、ご参照ください!
自然派ワインとは?魅力と選び方を解説

自然派ワイン一覧ページはこちら

1.「自然派ワイン」とは?

ナチュールとは

「ヴァン=vin」はワイン、「ナチュール=nature」は自然なを示すフランス語で、極力人間の介入をせずに醸造したワインのことを指します。いわゆる、「自然派ワイン」のこと!

ワインはブドウを栽培し育て、酵母の力によって発酵し、熟成させた「いわゆる農産物」ですが、
栽培から~醸造の間には様々な人の手が入っています。

これを極力減らし、葡萄の力に委ねたワイン造りを行うことを目標とし、実践している生産者が造るワインを「自然派ワイン=ヴァン・ナチュール」と呼んでいます。

ワインができるまで

■葡萄栽培における人的介入

栽培時の人的介入と言えば、農薬や化学肥料。
農薬は葡萄の病気や害虫を防ぎ、化学肥料は土中を栄養たっぷりにし、実りを多くもたらします。

■発酵や熟成など醸造に関する人的介入

ボージョレ・ヌーヴォーなどを醸造する時に、発酵タンクに二酸化炭素を注入する発酵方法、SO2の添加などがあげられます。

発酵終わりには濾過や清澄を行うことでクリアで、濁りのないワインを生み出すことができます。

■人的介入の問題点

一概に人的介入が悪い、と言うことではありません。

葡萄の樹が伸びっぱなしでは葉に栄養が取られ、果実の実りが減ります。病害虫は実りそのものをなくしてしまいます。ですので、畑では人間の管理が必要です。

ただ、多すぎる農薬、化学肥料を用いたことで、土壌の微生物が減り、害虫を食べていた虫が減りました。この結果、自然のサイクルが崩壊、ひいては、葡萄の病害虫が増えてしまうという、逆の結果を生み出しました。

醸造家が造りたいと思う味わい生み出す培養酵母は、味わいを均一化し、消費者にいつ飲んでも同じ味という安心感をもたらしました。この結果、ビンテージや産地に左右されず、一定の味わいのワインを楽しむことができるようになりました。

しかし『ワインが持つその土地ならでは』という個性を失わせる結果となったのです。

■生産者の自然回帰

生産者は弱ってしまうブドウの樹や土壌を見て、頭をひねります。
そんな時に思い出したのが、自分の祖先の時代のワインのことです。

農薬や化学肥料に頼らなくても、たくさんの実りがあり、美味しいワインができていた。
だったら、その時代に戻ってみようじゃないか!

そんな生産者たちが始めたのが、農薬や化学肥料に頼らず、自然と共にワインを造った結果、生まれたのが「自然派ワイン」なのです!

人的介入の問題点


2.自然派ワイン生産者が大事にしていることとは?

生産者の方々の多くが語る大切にしていることは以下のような点です。

・葡萄畑をすべての生物にとって居心地が良い場所にすること
・その土地、その地域をワインの中に表現すること
・ワインのなすがままに委ねること
・醸造施設を清潔に保つこと

■葡萄畑をすべての生物にとって居心地が良い場所にすること

葡萄は自然の中で育ちます。
そこには、昆虫や鳥、様々な草花が生きています。
そのすべての力を借りてしまおうではないか、というのです。

例えば、ハーブを煎じたものを散布したり、葡萄がかかりやすい病気に同じようにかかりやすい植物を畑の周りに植えて、病気の蔓延がないかを早めに認識できるように準備しておくのです。

また、暑すぎる夏には、雑草と呼ばれるその土地に根差した草花を利用します。

草花は抜かずに、踏みつけて倒します。
その草花は土壌を多い、日光が直接土壌に当たることを防ぎます。
このことにより、土壌の温度を適度に保つことができます。

このように草花を利用して保水や温度調整、土壌の栄養調整を行うことを『カバークロップ』と呼びます。

また、雑草は枯れて、土に戻ります。
微生物に分解された雑草は自然な有機肥料となります。

微生物が多く含まれる土壌の中では、これを餌とするミミズ等が繁殖にします。ミミズは土の中をくまなく回り耕してくれます。また、その糞は栄養分になります。

ミミズのいる土地は土が柔らかく、人間が耕さずとも空気をたっぷり含んだ優良な土壌になるのです。

■その土地、その地域をワインの中に表現すること

ワインの醸造には「酵母」が必要です。

現代のように、培養酵母がなかった時代には葡萄の果皮に付着した酵母菌で発酵をさせていました。この酵母菌もその土地によって、もしくは、醸造するセラーによって異なる菌がいると言われています。

酵母菌が異なれば、出来上がるワインも異なるのです。

また、土壌も地域や畑によって構成される土壌の種類や割合が異なります。
土壌から栄養を吸収して大きくなる葡萄にとっては、この土壌も味わいを決める大事な要因となるのです。

「テロワール」と言うのは、こうした土壌や土地に住む酵母菌や環境、すべての意味を含んでいるのです。
「ヴァン・ナチュール」は包括的にその土地を表現する、まさに「テロワールを表現する」ワインなのです。

■ワインのなすがままに委ねること

①SO2(酸化防止剤/亜硫酸塩)について

SO2は自然界にも存在する物質で、葡萄の糖分を酵母がアルコール分解する際に、二次的産物として生み出してしまいます。
ですので、ヴァン・ナチュールにも、もちろん含まれています。

ただ、多すぎるSO2は味わいのバランスを壊してしまうため、輸送や酸化に耐えうる最低限の量を添加しています。

②醸造について

ジョージアのクヴェヴリ醸造は人的不介入の代表。
地中の中に埋められた甕に葡萄を入れたら封をして、ワインになるのを待ちます。
出来栄えは「神のみぞ知る」です。

③濾過・清澄について

自然派ワインは無濾過・無清澄が基本ですが、ワインに含まれる酵母が二次発酵を起こす可能性があるため、濾過や清澄を行っている生産者もいます。

樽やタンクなど醸造に使用したものから瓶詰めする際には、澱などが下にたまっている状態で静かに瓶詰めする生産者も多い為、上澄みの部分と澱に近い部分では味わいの異なる場合もあります。

■醸造施設を清潔に保つこと

生産者さんが特に気を付けるのが「醸造施設や機器を清潔に保つこと」

全てを葡萄の力や自然に委ねる、自然派ワインの醸造においては、必要のない雑菌などが入り込まないことが重要。そのために、機器類はねじの1本まできちんと清掃するのだそう。

以前、試飲会で、たくあんの様な香りのするワインを「これがBIOだよね~」と言っていた方に出会いましたが、これは大きな間違い。
清潔な機器で醸造された、自然派ワインには異臭はしません。

「還元臭」と言われる、抜栓してすぐに硫黄の様な香りがするものもありますが、これは、SO2の添加量が少ないワインにみられる香り。
この香りがしたら、コルクを抜いた状態で、少しボトルを軽く回して頂くと、還元臭は減りますのでお試しを。

3.自然派ワインと有機栽培

自然派ワインの生産者は農薬や化学肥料も使用していない方がほとんど。

葡萄の状態によっては、ほんの少しの農薬を使用することもあるようですが、
自然由来の物など、使用するものには非常に気を付けています。

ただし、すべての生産者がオーガニックの認証を取得しているとは限りません。
認証の取得にはお金や手間暇がかかり、小さな農家さんにとっては多大なる負担になるからです。

また、日本ではJAS法が改正され、2025年10月1日からは「有機JASマーク」がない海外のオーガニックワインは「オーガニック」や「有機」が名乗れなくなります。

「有機JASマーク」の取得にはワインの輸入元も経費や手間がかかるため、あえて「有機JASマーク」は取得せずオーガニックを名乗らずに販売する、と言うことも増えそうです。

【認証がないからオーガニックではない】ということではないという事実を、消費者も認識する必要もあるようです。

■代表的な有機栽培の認証

日本でもよく知られている代表的な有機栽培の認証は「ユーロリーフ」「demeter」「エコセール」などがあります。

特に「demeter」は有機認証の中でも、非常に厳しい基準で審査されることで知られています。

代表的な有機栽培の認証


4.自然派ワインを楽しむために知っておきたいこと

「自然派ワインとは何ぞや」が分かったところで、「自然派ワイン」を楽しむために知っておきたいこと、注意したいことをご紹介します。

購入は温度管理された店舗で!

自然派ワインは無濾過や無清澄の物もあり、温度管理が大切!
ワインセラーに保管されている、または、店舗がひんやりする室温のお店で購入しましょう。

丁寧に保管しているお店のスタッフは、そのワインがどうやって造られてるかもきっと良く知っているはず。
お店の方を味方にして、美味しいナチュールを探しましょう!

通信販売で購入する際に気温が20度以上ある時にはワインの再発酵の可能性があるため、クール便をチョイスすると安心です。

■保管は15度以下で!

ご自宅では15度以下のワインセラーで保管ください。
冬場は温度変化の少ない、冷暗所であれば保管OK!

ワインセラーをお持ちでない場合、夏場はすぐに召し上がる分だけの購入をお勧めします。
冷蔵庫での保管は臭い、振動、温度の面で長期保存には向きません。

どうしても、と言う時には、新聞紙などでボトルを包み野菜室で保管ください。

■澱が苦手な方はしばらく休ませて!

自然派ワインは無濾過の物が多く、ワインが濁っているものがあります。
この澱は旨味の一つでもあるので、お嫌いでなければ濁った状態で飲んでしまってOK!

ザラっとした感じが苦手な方や雑味がお好みではない場合には、召し上がる1~2時間前からボトルを立てて
澱が下に沈むまで、そっとしておいてあげて下さい。

グラスに注ぐ際にもそ~っとでお願いします。

■抜栓した後はすぐ飲まないとダメ?

そんなことはありません!

自然派ワインは丁寧に造られているので、意外に長く持ちます。
抜栓後1か月経過後でも、抜栓してすぐより数段美味しい!なんてものもたくさんあります。

抜栓してすぐに渋みが強すぎるなと感じたり、香りがあまりしないなと思ったら、コルクで栓をして2~3日待つと、香り豊かに、まろやかになるものもありますので、ぜひお試しください。

抜栓後はコルクをしっかり締めて、冷蔵庫やセラーで保管ください。


5.自然派ワインが絶対好きになる!おすすめワイン5選

自然派ワインを楽しむ準備ができたあなたに、ナチュールが絶対に好きになるワインをご紹介します!
価格もお手頃で、ピュアな味わいが病みつきになる物ばかり!

さぁ!ナチュールの沼へレッツゴー!

■セール・ヴィヴォ・イ・ナチュラル(SO2無添加)

現在ではビオディナミの考えを忠実に守る家族経営のワイナリー。
1950年代から自然に敬意を払った栽培の方法を行い、2003年にはこの地域で初めてのオーガニックワインを売り出したことでも知られています。

「科学的なワイン醸造は今以上に進化することが困難であると考えられるが、自然に任せることで葡萄と現代の醸造が進化していると考えます。」と語る生産者によるピュアなワイン。

ワイン名の『セール・ヴィヴォ・イ・ナチュラル』は『生きていて自然であること』の意味。

チャーミングな赤い香りとエレガントで優しい味わいが魅力の赤ワインです。

セール・ヴィヴォ・イ・ナチュラル(SO2無添加)

■ルナリア ピノ・グリージョ アンセストラル・ブリュット・ナチュレ(SO2無添加)

イタリア中部・アブルッツォ州に拠点を置く、オーガニック農法やビオディナミ農法を実践するイタリア屈指のワイン生産者共同組合『カンティーナ・オルソーニャ』が古代の自然醸造方法「アンセストラル製法」で造ったスパークリングワイン!

ピノ・グリージョの柔らかな果実味と甘酸っぱいチャーミングな味わいが特徴!
ロゼに見えますが白のスパークリングワインです!

酵母が生きているので、良く冷やしてから抜栓して下さい!


ルナリア ピノ・グリージョ アンセストラル・ブリュット・ナチュレ(SO2無添加)
スパークリングワイン 辛口 イタリア 750ml

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■ボロヴィッツァ リミテッド・シリーズ ギャムザ ロゼ(SO2無添加)

ブルガリア北部で醸造学の博士号を持つ故オグニャン・ツヴェタノフ氏と、ワイン業界に25年以上にわたり身を置くアドリアナ・スレブリノヴァ氏の二人の実力派醸造家による共同プロジェクトとしてスタートしたワイナリー。

寒い地域ならではのキュッとしまった酸が特徴。

ブルガリアの土着品種「ギャムザ(ガムザ)」のアセロラの様な赤い小さな実を思わせる果実感と硬質のミネラル感が楽しめます。

ボロヴィッツァ リミテッド・シリーズ ギャムザ ロゼ(SO2無添加)

■カンティーナ・マリリーナ キュエ・モスカート

シチリアの南東部で姉妹二人が営む家族経営のワイナリー。
環境への影響を最小限にする『ミニマム・インパクト』の考え方の下に、再生紙でのエチケット作成、軽量瓶の使用、キャップシールの廃止など、積極的に取り入れています。

このワインに使用されている「モスカート」は「マスカット種」のこと。
たっぷりの芳しいアロマが特長。甘口の原料にもなりますが、このワインは辛口。

甘みのある果実感はあるものの果皮から抽出された渋みが全体を引き締めています。
優しい飲み心地でオレンジワインは自然派ワイン初心者の方にも好評のワインです。

カンティーナ・マリリーナ キュエ・モスカート

■シャトー・ド・ラ・ジョーベルティ レ・セパージュ・ウーブリエ ナチュール・ホワイト(SO2無添加)

フランス・ボルドーのオーガニック生産者。醸造家には世界的に有名な「ヒュー・ライマン」を招聘し、葡萄の上質さを感じられるピュアでクリアなナチュラルワインを生み出しています。

甘い砂糖菓子の香りと黄色い果実のふくよかな味わいが特長で、言われなければナチュールとは思えないクリアな仕上がりです。

酸も優しいので、ワイン初心者の方にもお勧めの白ワインです。

シャトー・ド・ラ・ジョーベルティ レ・セパージュ・ウーブリエ ナチュール・ホワイト(SO2無添加)


6.まとめ

『ナチュール』とかっこいい言い方ですが、要は昔のワイン。
なので、気張らず、あなたの口に合うものを探して頂ければと思います。

好みの味のワインを見つけたら、同じ生産者の別のワインを試してみるのもお勧め!
ワイン選びに困ったらお気軽に「世界のワイン葡萄屋」にご相談ください♪

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