ブルゴーニュ当たり年ガイド【ヴィンテージチャート付】
ブルゴーニュワイン当たり年ガイド
皆さん、こんにちは。葡萄屋ソムリエです。
ワインにはブドウが収穫された年の天気や気候によって品質(味わい、美味しさ)に違いがあり、天気に恵まれ、出来が良い果実味豊かなワインが出来た年を「当たり年」と呼びます。
ブルゴーニュのワインはこの当たり年であるかないかで、特にワインの味わいや価格まで大きく変わってしまうワインです。
自分でワインを飲むため、プレゼントするため、資産として保有しておくため、当たり年を知っておくことで、よりよいワインを選ぶことが出来ます。
そこでこのページでは、ブルゴーニュのワインの当たり年について解説していますので是非一度読んでみて下さい。
1.当たり年とは
みなさんご存知のようにワインは農作物であるブドウから作られています。農作物である以上その出来(美味しさ)は必ず天候に左右されます。
天候の良かった日が多かった年は甘いとか、雨が多く曇りがちだった年は酸っぱいとか。。。ブドウの美味しさ(質)は天候によって決まってきます。
ブドウの出来が良ければワインの品質も良くなり、逆に悪ければワインの品種も低くなる、というように、ワイン造りは原材料であるブドウの質がダイレクトに反映されます。
つまりワインの当たり年とは、その年の「ブドウの質の良し悪し」で決まるのです。
ブドウを栽培するめには「天候」や「日照」「気温」などいろいろな気象条件が整うことが必要で、これらの良い条件が揃い、最高の状態でブドウを収穫できれば、その年は「当たり年=グッドヴィンテージ」と呼ばれることになります。
「当たり年」とは豊な日照でブドウの糖度が上がりのワインはとても果実味が豊かなジューシーな味わいになることが特徴です。
逆に、雨が多かったり、気温が低かったり、ブドウが病気になったり、霜(しも)害や雹(ひょう)害などで、品質に高いブドウが出来なかった年は「外れ年=オフヴィンテージ」と呼ばれます。
また、ブルゴーニュの赤ワインで用いられるピノ・ノワール種は非常に繊細なブドウで気候の影響が味わい出やすく難しい品種です。
その気候などを踏まえて、当たり年や難しい年などで評価したものが「ヴィンテージチャート」と呼ばれているものです。
2.ヴィンテージチャート
3.ヴィンテージチャートはあくまでも目安
ヴィンテージチャートで評価の低い年のワインでも、実際に飲んでみるととても美味しいものが結構あります。「外れ年=オフヴィンテージ」であっても、息を飲むような美味しさに熟成したワインに出会う事も少なくありません。また同じ地域でも、生産者によって異なる収穫タイミングによるブドウの熟度の違いや、醸造技術による違い、それら数多くの要素によって味わいや美味しさは異なってきます。
ヴィンテージチャートはあくまでも「収穫された年の天候の評価」であることを念頭に置いておくことが必要です。「評価の低い年でも飲んだら美味しかった」ということが多くあるように、あくまでもひとつの指標として考えて下さい。
4.当たり年はハズレが少ない
当たり年のワインは天候が良好で、ブドウが完熟して果実味豊かなことが特徴です。すなわち当たり年は「良好な天候」が主役であるのです。
ブドウがしっかり熟して、病気などが少ない当たり年は、健全なブドウをそのままワインにするだけで美味しいワインが出来る年なんです。
つまり、生産者の醸造技術でブドウがワインになっていく過程において手助けをしてあげる必要がほとんどない、ということです。
結果、生産者の技術の差が出にくく、有名な実力ある生産者も、そうでない一般的な生産者であっても果実味豊かな美味しいワインが出来る年であるわけです。
また、どんな生産者を買っても「ハズレ」が少ないと言えます。
もちろん生産者のランクによって美味しさのレベルは大きく変わりますが。。。
味わいの方向性は「果実味豊か」で同じということです。
当たり年は人気があるため、基本的には高めの価格になります。
資産として長くにわたり保有するのでしたら当たり年をおススメします。
当たり年のワインは長い年月が経って、さらに価値が上がり価格も高騰するのが特徴です。
5.当たり年じゃないワインは美味しくない?
ここで気になるのが「それでは当たり年ではないワインは美味しくないの?」ということです。答えは、いえいえ、まったくそんな事はありません。
雨が多かったりなど、難しい年ほど生産者の腕の見せどころで、優れた栽培技術、醸造技術をもった生産者であればあるほど、難しい年の弱さを生産者の技術でカバーするのです。
有名で実力のある生産者であれば、オフヴィンテージのほうが、その優れた生産者の卓越したテクニックを見ることが出来る、「外れ年」どころか、むしろおススメであったりします。
当たり年は「天候」が主役であるのに対して、外れ年は「人」が主役のヴィンテージということです。決して「外れ」ではないんです。
また、オフヴィンテージはテロワール(土壌)の特徴をより明確に感じられることも魅力です。
当たり年はワインの味わいの構成的に、太陽の光をたっぷり浴びた「果実の甘味」が前面に出てくるのに対して、外れ年「オフヴィンテージ」は果実の甘味よりも、ミネラル「地中の味=テロワール」の味わいの要素が前面に出て感じられるからです。
オフヴィンテージを選ぶ際には注意してほしい点があります。技術力の低い生産者のオフヴィンテージのワインは、冷涼な年ゆえの収穫後の選果が不十分であったりして、未熟なブドウの青っぽい香りや味がワインに出てしまうなどのネガティブな要素を感じることがあります。
オフヴィンテージのワインはその様な点を考慮して購入することが必要です。
ピノ・ノワールが繊細なブドウだということは先程お話ししましたね。
ピノ・ノワールの真の魅力とは、「限界ギリギリの寒い気候条件の中で見せる繊細さとエレガンス」です。
そうです、オフヴィンテージこそ「ピノ・ノワールの繊細さエレガンス」というブルゴーニュ・ピノ・ノワール本来の魅力を感じられるのです。
そんなオススメ「外れ年=オフヴィンテージ」は近年では2021年、2016年、2013年、2011年ですね。
しかし、最近(2018年、2019年、2020年など)は暑い年が続いていてピノ・ノワールの繊細さが発揮できない、と危惧されています。。。今や「外れ年=オフヴィンテージ」が貴重なヴィンテージとなってきています。
6.ブルゴーニュ 当たり年 2020
当たり年の話に戻って、、、近年の当たり年として葡萄屋おススメのヴィンテージは2020年。猛暑だったヴィンテージですが、ブルゴーニュワイン委員会が「偉大なグレートヴィンテージになる」と発表した注目のヴィンテージで、世界的なワイン評価誌『デキャンタ』においても「価値のあるヴィンテージである」ともコメントされています。
夏は猛暑で乾燥していたものの、8月から9月に降った少量の雨のおかげで気温が下がり、果実味豊かでエネルギッシュでありながらも、心地よいフレッシュな酸を兼備した仕上がりが魅力。果実味は凝縮していながらもバランスが良く、フレッシュなスタイルとなりました。長期熟成にも向いています。
また、この年は収穫すること自体がとても難しかった年です。コロナ禍真っ只中で、収穫する人員を確保することが困難だったため、ベストな収穫のタイミングを逃してしまった生産者もありした。
ベストな収穫のタイミングを逃してしまうとブドウが過熟しすぎてしまい、酸度が下がり、ブルゴーニュらしくない甘ったるくなってしまったワインもあります。
苦しかったコロナ禍を乗り越えた記念碑的ヴィンテージとも言えます。
どちらかというと濃い目のワインが好きで、少し寝かせても良いかな~と考える方は2020年を選んでみてはいかがでしょうか。
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Domaine Fabien Coche Meursault 1er Cru Gouttes d'Or 2020ドメーヌ・ファビアン・コシュ ムルソー プルミエ・クリュ グット・ドール 2020
ファビアン・コシュのフラグシップワイン。グット・ドールは「黄金の雫」のクリマ名どおり色調は輝くような濃い黄金色!
- 生産地
- フランス / ブルゴーニュ / ムルソー
- タイプ
- 白ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- シャルドネ100%
- 生産年
- 2020年
商品コード: fow1045
希望小売価格(税込):¥25,080
販売価格(税込):¥22,572
- 生産地
- フランス / ブルゴーニュ / ムルソー
- タイプ
- 白ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- シャルドネ100%
- 生産年
- 2020年
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G.Roblot-Marchand Chambolle-Musigny 2020G.ロブロ・マルシャン シャンボール・ミュジニー 2020
シャンボール・ミュジニー村の6つの区画をバランス良くブレンド。村の全容を堪能できるハイレベルな村名シャンボール。
- 生産地
- フランス / ブルゴーニュ / シャンボール・ミュジニー
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- ピノ・ノワール100%
- 生産年
- 2020年
商品コード: fow1219
希望小売価格(税込):¥11,990
販売価格(税込):¥10,791
- 生産地
- フランス / ブルゴーニュ / シャンボール・ミュジニー
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- ピノ・ノワール100%
- 生産年
- 2020年
7.ブルゴーニュ 当たり年 2018
近年の当たり年として葡萄屋おススメのヴィンテージの2つ目は2018年。十分すぎるほど太陽の光を浴びたヴィンテージで果実味タップリ。ブルゴーニュワインは酸っぱくて苦手、とおっしゃる方でも安心しておススメ出来ます。
オフヴィンテージのような「生産者の腕やテロワールを感じる、云々・・・」というような難し話ではなくて、「とにかく陽気でジューシーなピノ・ノワールが飲みたい!」という方にはピッタリなヴィンテージです。
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Benjamin Leroux Nuits-Saint-Georges 1er Cru Aux Boudots 2018バンジャマン・ルルー ニュイ・サン・ジョルジュ プルミエ・クリュ オー・ブード 2018
隣の隣はDRCの特級「ラ・ターシュ」そして!そのすぐ先は「ロマネ・コンティ」という実は相~当~に凄い畑!!
- 生産地
- フランス / ブルゴーニュ / ニュイ・サン・ジョルジュ
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- ピノ・ノワール100%
- 生産年
- 2018年
商品コード: fow1187
希望小売価格(税込):¥28,600
販売価格(税込):¥25,740
申し訳ございませんが、
只今品切れ中です。- 生産地
- フランス / ブルゴーニュ / ニュイ・サン・ジョルジュ
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- ピノ・ノワール100%
- 生産年
- 2018年
8.ブルゴーニュ 当たり年 2017
3つ目の葡萄屋おススメヴィンテージは2017年。2017年は豊作だった当たり年。2018年ほどジューシーな感じではありませんが、ちょうど良い日照量、気温、降雨量で、酸っぱくもなく、濃すぎることもない、とてもバランスに優れたヴィンテージです。果実味が濃すぎないので今飲み頃に入ってきています。特に白(シャルドネ)にとって素晴らしい条件が整ったグッドヴィンテージです。
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Henri Richard Charmes-Chambertin Grand Cruアンリ・リシャール シャルム・シャンベルタン グラン・クリュ
ジュヴレ・シャンベルタン村のグラン・クリュの中で一際エレガント。シャルムの名の通りエレガントでチャーミングなワイン
- 生産地
- フランス / ブルゴーニュ / ジュヴレ・シャンベルタン
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- ピノ・ノワール100%
- 生産年
- 2017年
商品コード: fow1062
希望小売価格(税込):¥33,000
販売価格(税込):¥29,700
- 生産地
- フランス / ブルゴーニュ / ジュヴレ・シャンベルタン
- タイプ
- 赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
- 品種
- ピノ・ノワール100%
- 生産年
- 2017年
9.1962年 ワイン ブルゴーニュ
1962年はフランス全土で年間を通じて天候に恵まれた当たり年。ボルドーは前年1961年の大当たり年ほどではありませんが、ワインの品質も高く、半世紀以上経過した現在でも、美味しく飲むことができます。ブルゴーニュはボルドー以上に素晴らしく長期熟成に向いたワインに仕上がりました。ただし価格も高騰しており、入手が困難なヴィンテージの1つとされています。10.まとめ
ワインの当たり年について解説してきました。当たり年ではないから美味しくないワインというわけではありません。
逆に当たり年のワインだからといって、必ずしも全てに方の好みであるとも限りません。
また、ワインの入門はひと昔前は、ブルゴーニュは酸っぱいから、濃いめな味わいのボルドーから入る方が多かったのですが、最近はブルゴーニュも果実味タップリ「当たり年」ワインが多くなってきてブルゴーニュから入門する方も増えてきています。
「当たり年」ブルゴーニュはブルゴーニュワインの門戸を広げることにもつながっているかもしれません。
「当たり年」の果実味豊かなブルゴーニュを楽しむのもよいですし、そうではない年のブルゴーニュと「当たり年」を飲み比べてみると違いがよく分かり、ブルゴーニュワインライフがより素晴らしいものになることでしょう。
是非両方飲んでみて新しい発見をしてみて下さい。