ブルゴーニュ グラン・クリュとは?

ブルゴーニュ グラン・クリュとは?


ブルゴーニュグラン・クリュ

皆さん、こんにちは。葡萄屋ソムリエです。
フランス東部のブルゴーニュ地方、首都ディジョンの南から約60キロにわたり、世界中のワイン愛好家を魅了するコート・ドールのブドウ畑が広がっています。東向きの斜面は秋ともなると、黄色く色づいたブドウの葉が陽光を浴びて眩いばかりの黄金色に染まり、まさに「黄金丘陵」の名にふさわしい景観。

この北から南まで26の村が連なるコート・ドールを駆け抜けてみると、その多彩な表情には驚かされます。起伏のある斜面、切り立った谷、石垣に囲まれた小さな畑、、、モザイク状の区画(クリマ)は、その位置によって土壌や気候、日当たりなど栽培条件が異なり、ひいてはそれらはワインの味わいにも影響を及ぼします。

その数多いクリマの中でも最高の条件をもち、ブルゴーニュの頂点に君臨し、世界中のブルゴーニュ・ラヴァーを虜にするワインを生み出すクリマが、グラン・クリュ(特級畑)です。
そのグラン・クリュとはどのような畑なのか見ていきましょう。

ブルゴーニュワインの特徴や産地はこちら

1.グラン・クリュ格付は畑に対してなされる

ブルゴーニュ グラン・クリュ(Grand Cru, 特級畑)は、ブルゴーニュの頂点に君臨する偉大なテロワールから生まれるワインです。
グラン・クリュの区画は、その多くが、中世のシトー派修道会によって、傑出したワインを生み出す区画として昔から認識され、現在でも世界中を虜にし続けています。

ブルゴーニュの格付けは「グラン・クリュ」を含め全て畑に対してなされます。
そのランクは下記の4段階。その最高位が特級畑、グラン・クリュです。
つまり、畑によってブドウ(ワイン)のランクが決まってしまうということなのです。

ブルゴーニュの格付け図


ブルゴーニュには「クリマ」と呼ばれる単位の畑が1000以上あり、その内33の畑が「Grand Cru」に認定されています。
そしてブルゴーニュの上級ワインは、ほとんどが単一の畑からつくられ、畑名が表記されます。

■グラン・クリュの表記ルール

グランクリュのワインは、エチケットにその畑名と「Grand Cru」の表記のみが義務付けられています。
村名の表記はありません。

グラン・クリュは畑名のみで良い理由は、グラン・クリュは33個しかないので、畑名の重複が無いので、村名を省略しても問題ないからです。

名前は短い方が覚えやすいし、美しいですよね。


グラン・クリュのラベル表記


■プルミエ・クリュの場合

プルミエ・クリュのワインもほとんどの場合畑名が表記されます。
ただしプルミエ・クリュは村名も併記する必要があります。

なので、例えばこのワインのように「Nuits-Saint-Georges 1er cru Les Proces」と長い名前になることが多いです。
プルミエ・クリュは同じ畑名でも、他の村の同じ名前の畑と重複することが多くあり、そのため「村名の記載が無いと、どこの畑か分からないから」です。

例えば「シャルムCharmes」という畑は、1級畑としてシャンボール・ミュジニー村、ムルソー村、モレ・サン・ドニ村と3つも村に同じ名前の畑が存在するため、畑名だけだと、どのシャルムか分かりません。

プルミエ・クリュのラベル表記

それに対してグラン・クリュは33個しかありません。
名前も重複しないので、村名を省略しても問題ないからです。

ブルゴーニュでは一つのクリマを分割所有するのが通常です。
さらにネゴシアンと呼ばれるブドウを購入してワインをつくる生産者もいます。
なのでブルゴーニュのグラン・クリュのワインは33種類のみではなく、生産者の違いも含めるそれ以上にたくさんあるということです。
  • Domaine Arlaud Charmes-Chambertin Grand Cru 2019ドメーヌ・アルロー シャルム・シャンベルタン グラン・クリュ 2019

    口に含むともの凄い集中感、焦点が定まりまくった味、液体の上質感、その偉大さに、脱帽!

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / ジュヴレ・シャンベルタン
    造り手
    ドメーヌ・アルロー【Domaine Arlaud】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2019年

    商品コード: fow1139

    希望小売価格(税込):¥60,500

    販売価格(税込):¥54,450

    在庫:残り1個

    数量

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / ジュヴレ・シャンベルタン
    造り手
    ドメーヌ・アルロー【Domaine Arlaud】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2019年

2.ブルゴーニュのグラン・クリュはどこにある?

ブルゴーニュのグラン・クリュは、シャブリ グラン・クリュを除く全てがコート・ドールにあります。
コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌと呼ばれる南北に細長く続く地域を合わせてコート・ドール「黄金丘陵」と呼ばれます。
長さは60kmにわたって広がり「黄金丘陵」の名の通り、畑の西側は小高い丘となり、その丘の斜面にほぼすべてのグラン・クリュは存在します。

コート・ドールの地図

3.ブルゴーニュは冷涼な産地

ブルゴーニュは内陸にあるため、大陸性気候の影響を強く受けます。
その気候は夏暑く冬寒いのが特徴。ブルゴーニュは高緯度にあるため日照が限られ、冷涼な産地として分類されます。

冷涼な気候はブドウ栽培にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
主には冷害と成熟不良です。

4.近年ブルゴーニュを悩ます深刻な霜害

春先、暖かくなってくるとブドウの樹は芽を出して成長を始めます。
それから徐々に気温が上がれば問題ありません。

しかし近年は温暖化で芽吹きが早くなっていることもあり、春になっても突然、真冬のような寒さになり霜が降りてしまう日があります。

これが近年ブルゴーニュに深刻な被害を及ぼしている霜害です。
春になって柔らかい新芽を出したあとに霜が降りるほど寒い朝に見舞われると、新芽が凍って死んでしまいます。これを防ぐために夜通し畑に火を焚いて空気を温めるのです。


霜を防ぐため夜間にロウソクの熱で気温の低下を抑えるブルゴーニュの畑     Facebook@BourgogneWines

霜害が起きるとその年の収穫量が減少します。
近年は霜害がブルゴーニュのいたるところで発生して、収穫量が激減し、その結果、昨今の価格の異常な大高騰が起きているのです。


5.温暖化の影響でブドウが熟しすぎる

ブドウの成熟期や、秋の収穫時期に雨がちだったり、早くに冷え込みすぎると、ブドウが十分に熟さないことがあります。気温がある程度上がらないと甘いブドウが取れないのです。

しかし、そんな気温が上がらない時にこそ、エレガンスを発揮するのがピノ・ノワールであり、グラン・クリュの実力であるのですが、近年に関しては、地球温暖化の影響で、ブルゴーニュ全体の気温上昇が半端なくブドウの糖度が上がり過ぎて、ブルゴーニュのエレガンスが失われつつあることが真剣に危惧されています。

エレガンスを保つには適度な酸が必要で、それにはある程度の冷涼な気候が欠かせません。
過熟だと酸度が失われるので、エレガンスも失われてしまいます。


6.グラン・クリュの斜面は霜害を受けにくい

ブルゴーニュのグラン・クリュはほとんどが東~南東向きの斜面ですが、それは東向きは日光が朝早くから地表に対して直角に射すので日照時間が長く確保できるからです。
また、斜面の畑は霜害を受けにくい特徴があります。
空気は温まると軽くなり、冷えると重たくなり、冷たい空気は地表近くに滞ります。
村名ワイン用の畑や、広域ワイン用の畑はグラン・クリュの斜面よりも低く位置するため、冷たい空気が溜まり、霜害が起こりやすくなります。
一方でグラン・クリュの斜面の畑は、冷たく重い空気が斜面下部に下り一か所にとどまりにくいので、霜害は平地の畑に比べて起こりにくい傾向にあります。

斜面の畑は霜害を受けにくい

7.斜面の畑のブドウは質が高い

斜面の畑と平地の畑を比べた場合、雨が降ったとき畑の土がより多くの水分を吸収するのは、平地の畑です。

グラン・クリュの斜面の畑は雨が降っても、水はけがよく、ブドウの樹は適度な水分不足状態になります。

植物にとって水分は欠かせませんが、ブドウは少な目の水分量でも枯れずに生きていける植物なんです。むしろ渇水の環境のほうがブドウが危機を感じ子孫を残すために凝縮した美味しいブドウを実らせるのです。これがグラン・クリュのブドウです。

斜面ついて色々お話ししてきましたが斜面はグラン・クリュにとって欠かせないものであるということです。

8.村の名前にもグラン・クリュの存在を感じる

グラン・クリュの区画は、その多くが、中世のシトー派修道会によって、傑出したワインを生み出す区画として昔から認識され、現在でもその認識は不変です。

グランクリュの名前は、村の名前にあらわれています。
特級「シャンベルタン」のあるジュヴレ・シャンベルタン村。
特級「ミュジニー」のあるシャンボール・ミュジニー村。
特級「モンラッシェ」のあるピュリニー・モンラッシェ村、シャサーニュ・モンラッシェ村。

これはまず昔から素晴らしいワインを生み出す畑があり、それをグラン・クリュと呼び、その名声にあやかれるよう、そこから村の名前をつけたのです。
グラン・クリュの名は現地の人々の生活の中に自然に浸透していることの表れです。
  • Harmand Geoffroy Mazis-Chambertin Grand Cruアルマン・ジョフロワ マジ・シャンベルタン グラン・クリュ

    妖艶にして芳醇。力強く堅牢な骨格を持ち、圧倒的なスケールを誇るドメーヌのフラグシップ。

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / ジュヴレ・シャンベルタン
    造り手
    ドメーヌ・アルマン・ジョフロワ【Domaine Harmand Geoffroy】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2021年

    商品コード: fow1465

    希望小売価格(税込):¥74,800

    販売価格(税込):¥67,320

    数量

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / ジュヴレ・シャンベルタン
    造り手
    ドメーヌ・アルマン・ジョフロワ【Domaine Harmand Geoffroy】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2021年

9.グラン・クリュの価格は生産者によって大きく跳ね上がる

グラン・クリュの価格を決める要素は一概には言えませんが、大きく3つの要素があります。
畑による違い」、「ドメーヌ物かネゴシアン物かの違い」、「生産者による違い」の3つの要素です。

■畑による違い

コート・ドールのグランクリュの中でも、そのワインの価格は大きく違います。
大きな理由が希少価値。
たった0.85haの最小のグラン・クリュ「ラ・ロマネ」から、35haを超える「エシェゾー」など。
やはり小さな畑のグラン・クリュはワインの数も少ないことから、取引価格は高価です。
「エシェゾー」のような大きな畑は所有者も多いため、生産者のレベルによって価格もピンからキリまでですし、斜面の上部と下部では水捌けなどの条件が全く異なり、それが美味しさや価格にも反映されます。名門生産者や、実力派の生産者が斜面上部の良い区画を所有していることが多いです。

それとは別に畑の人気や評価もあります。
「シャンベルタン」「ミュジニー」「リシュブール」「モンラッシェ」などの畑は、特別小さい訳ではありませんが、その畑の実力と人気から非常に高い価格で取引されます。

■ドメーヌ物かネゴシアン物かの違い

これは自分で畑を所有して栽培、醸造を行う「ドメーヌ」か、ブドウを購入してワインをつくる「ネゴシアン」かということ。
一般論で述べると、ネゴシアンのワインの方が手頃な価格で楽しめます。

ただし最近はオリヴィエ・バーンスタインに代表される、「マイクロネゴス」と呼ばれる生産者も現れ始めました。
主にグラン・クリュのブドウを購入してプレミアムワインだけを少量つくる生産者です。価格もかなり高価です。

■生産者による違い

近年はこれが一番顕著になってきました。
人気のある生産者のワインは、とてつもなく高価です。

例えば「エシェゾー」という畑。
大きい畑なので所有者も多く、3万円くらいから手に入れることもできます。

しかし、DRCやエマニエル・ルジェなどの人気の生産者だと何十万円という金額に跳ね上がってしまいます。。。
  • Domaine Chantal Remy Clos de la Roche Grand Cru 2014ドメーヌ・シャンタル・レミー クロ・ド・ラ・ロッシュ グラン・クリュ 2014

    「ロッシュ=岩」という意味のとおり石灰岩の割合が高く石の塊が多く露頭するグラン・クリュ。石の硬質なミネラル感が長い余韻へ。

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / モレ・サン・ドニ
    造り手
    ドメーヌ・シャンタル・レミー【Domaine Chantal Remy】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2014年

    商品コード: fow1646

    希望小売価格(税込):¥46,750

    販売価格(税込):¥42,075

    数量

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / モレ・サン・ドニ
    造り手
    ドメーヌ・シャンタル・レミー【Domaine Chantal Remy】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2014年

10.まとめ.グラン・クリュは高い熟成能力を持つが故に飲み頃がとても難しい・・・

グラン・クリュのワインは、高い熟成能力を持ちます。
そのため若いうちは酸が高く渋味もしっかり感じるワインであることが多いのです。
若いグラン・クリュをワクワクしながら飲んでも「う~ん・・こんなはずでは・・・」で終わってしまうことがほとんどです。

実力派の生産者ほど、リリース直後に飲んでもそれなりに美味しく感じさせてくれるものですが、
それでも、数年~十数年の瓶熟成によって複雑な風味が出て来てこそ、プレミアムな価格に見合うと言えるでしょう。

しかし、熟成したグラン・クリュでも、「ワインが寝てしまう周期」というのがあり、そこに当たってしまうと、これも「う~ん・・・」となってしまう・・・
グラン・クリュというはワインなのに、機嫌が良い時、機嫌が悪い時、というのがあるんです。。。

また、長い年月保管されていた際の保管温度も非常に大切で、保管温度が高かったりすると全く美味しくないですし、自分で購入して長く保管していたならば保管状態は把握できているでしょうが、熟成したグラン・クリュを購入する場合は、よほど信頼のおけるお店で購入しないと、劣化したものを掴んでしまうリスクがあります。

グラン・クリュの美味しい瞬間に出会えることって、「運」も必要になってくるんです。

だからこそ、上質なグランクリュの飲み頃に出会うと、息を飲むような異次元な体験ができ、抜け出せなくなってハマってしまう・・・
そして狂気じみた金額でも、上級レンジのワインから飛ぶように売れていくのです。

奇跡の1本に出会いたい、、がために、、、たとえ何本ハズレても買い続けてしまう・・・

ブルゴーニュ グラン・クリュとは、そんな非日常的なワインではないでしょうか。
  • Henri Richard Mazoyères-Chambertin Grand Cruアンリ・リシャール マゾワイエール・シャンベルタン グラン・クリュ

    渓谷の浸食作用が多くのミネラルを畑に運び、しっかりとした骨格とボディ、複雑味のある男性的なグラン・クリュ

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / ジュヴレ・シャンベルタン
    造り手
    アンリ・リシャール【Henri Richard】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2017年

    商品コード: fow1063

    希望小売価格(税込):¥35,200

    販売価格(税込):¥31,680

    申し訳ございませんが、
    只今品切れ中です。

    生産地
    フランス / ブルゴーニュ / ジュヴレ・シャンベルタン
    造り手
    アンリ・リシャール【Henri Richard】
    タイプ
    赤ワイン / 辛口 - ミディアムフルボディ
    品種
    ピノ・ノワール100%
    生産年
    2017年

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