【ジョージア生産者】テリアニ・ヴァレーの魅力
生産者インタビューから紐解くテリアニ・ヴァレーの魅力
皆さん、こんにちは。葡萄屋ソムリエです。ジョージアの生産者「テリアニ・ヴァレー」の輸出担当者の方が弊社を訪問してくださいました。
その時のインタニューの内容をもとに、人気ジョージア生産者「テリアニ・ヴァレー」の魅力を一緒に紐解いていきましょう。
1.ジョージアワインとは?
■ジョージアの基礎知識
ジョージアは北はロシア、南はトルコ、アルメニア、東はアゼルバイジャン、西は黒海に面したコーカサス地方の一国で面積はおよそ日本の約5分の1の小さな国です。緯度的には北緯41~44度にあり、フランスの銘醸地『ボルドー』とほぼ同じです。
国の北側には大コーカサス山脈、南に小コーカサス山脈があり、国土の5割以上が山地、3割以上が山麓の山国でもあります。
この山から吹き下ろす乾燥した風が、ワイン造りに大きく影響を与えています。
また、国の東部にはクラ川、西部にはリオニ川が流れ、水源にも恵まれています。
首都トビリシはクラ川の流域に位置しています。
クラ川はアゼルバイジャンを通りカスピ海へ、リオニ川は黒海へと注いでいます。
ジョージアを代表するワイン産地『カヘティ』はクラ川のやや北を流れるアラザニ川流域に位置しています。
■ジョーアジアワインの特徴
ジョージアワインの歴史は約8000年あると言われており、ジョージアのワインを特徴づける『クヴェヴリ醸造』は、UNESCOの無形文化遺産にも登録されています。ジョージア語でワインを意味する『gjvino(グヴィノ)』は、イタリアの『vino』、フランスの『vin』など様々な国のワインを意味する言葉の語源となっているのです。
ジョージアのワインは伝統的なクヴェヴリ醸造とヨーロッパ方式と言われる現代的な醸造法とに大きく分けることができます。
■ジョージアの葡萄品種
ジョージアの赤ワインと言えば『サペラヴィ』!と言えるほど、の人気と実力を兼ね御備えた品種。中甘口のアラザニやキンズマラウリから、黒々とした濃密なフルボディまで様座生表情を見せてくれる黒葡萄。栽培面積もジョージア品種の中では2位を誇ります。
栽培面積1位は『ルカツィテリ』!
アロマが豊かで親しみやすい味わいが特長です。
栽培面積3位のムツヴァネとブレンドする『ツィナンダリ』はジョージアを代表するPDOの一つです。
とはいえ、ジョージアの葡萄品種は少なくとも525種あると言われており、まだまだその一端に私たちは触れているだけなのかもしれません。
2.テリアニ・ヴァレー輸出責任者インタビュー
この度、Glekhuri(グレクリ)シリーズ販売から10周年を記念して特別に造られた5種類が限定入荷されたのを機に来日されたテリアニ・ヴァレー輸出部長のZurab Bakuradzeさんにお話を伺いました。■テリアニ・ヴァレーとは
テリアニ・ヴァレーは、ジョージア東部のワイン最大産地であるカヘティ地方に位置し、700haの自社畑を所有しています。14世紀にはロシア皇帝の兄弟がワイナリーを設立し、数世紀に渡り皇帝一族のワインを作り続けていました。
その上質な味わいが一族の中で評判になったことで、当時無名だったカヘティ地方は1890年代に一躍有名になり、現在もジョージア屈指のワイン産地の地位を守っています。
旧ソ連時代、二人の若い醸造家が「いつか独立して自由で本物のワインを造る」という情熱を秘めながら、旧ソ連のワイン工場で長年に渡り無償労働を耐え抜いた末、1997年ジョージアで立ち上げたのが『テリアニ・ヴァレー』です。
北部の大コーカサス山脈から吹き下ろす冷気が恩恵をもたらし、カヘティ地方に位置するワイナリーで造られるGLEKHURIシリーズは、丁寧に育てた土着品種をクヴェヴリで醸すジョージアの伝統的製法を用いた上位ライン(年間7万本)です。
ー GLEKHURI(グレクリ)とはどういう意味ですか?
『GLEKHURI(グレクリ)』とは一般的に農民を意味します。Khuriは農家から生まれるものという意味です。
つまり、農家のワインみたいなものです。
だから私たちはクヴェヴリとともに、先祖伝来の手法でワイン造りを行っているので、このように呼ぶことにしました。
ー 今回、Glekhuri(グレクリ)シリーズ販売から10周年を記念したワインが造られたということですが、通常のGlekhuri(グレクリ)シリーズとは何が違うのでしょうか?
私たちが決めたのは、10周年記念ワインに使われる品種はそれぞれの産地で造られたものを使うということです。
なぜならば、それぞれの品種がそれぞれの産地を表現しているからです。そして全ての共通点は、すべてクヴェヴリで作られているということです。
ただ、クヴェヴリのワインを飲んだことがない人にとっては、独特の風味やはなかなか難しいことが多いのです。私たちはクヴェヴリを使いながらも、樽やステンレスでの現代的な醸造法を組み合わせることにより、より多くの人達にジョージアの農民が大切にしてきた文化を伝えたいと考えているのです。
ー なるほど。では、早速試飲に入りましょう。
■Kakhuri カフリNO.8
カフリ地方は私たちの出身地であるカヘティのことで、カフリムはこのカフリ地方で生まれたものです。日本ワインのことを国産というようにカヘティのワインをカフリムと呼びます。私たちはそれをカフリ・ナンバー8と呼んでいます。
このワインは4つの品種から造られています。『ルカツィテリ、カフリムツヴァネ、ヒフヴィ、キシ』この4つの品種はすべてこの地域のものでカヘティのいいとこどりのようなワインです。
醸造方法は、標準的なスチールタンクで発酵させ、6ヶ月のうち2ヶ月は果皮と一緒に寝かせます。
クヴェヴリのワインをよく知らない人にとって、オレンジワインの入門編として良いワインです。
バランスが取れていて、クヴェヴリより軽いバージョンです。伝統的なジョージア・ワインはタンニンが強すぎます。このワインで私たちが試みたのは、ジョージア・ワインの風味を生かしつつ、ジョージア・ワインを知らないお客さんや、もしかしたらジョージア・ワインを初めて飲むお客さんにも楽しんでもらえるようにすることです。これでワインを知ってもらうのはとてもいいことです。
これはジョージア版アンバーワイン(※)ですがより洗練されています。
通常、クヴェヴリワインは、食べたり飲んだりするための食事との組み合わせが必要ですが、このワインはそのまま飲むことができるアンバーワインです。
(※)アンバーワイン=オレンジワイン。葡萄を醸して醸造するワイン。
ー このようなオレンジワインをステンレスタンクで造るのはジョージでは一般的なのでしょうか?
昔は特にそうだった。そして、このカフリ・ナンバー8は昔ながらの作り方をしています。ソ連時代はクヴェヴリだけでなく、ステンレスタンクも使っていました。ソ連時代、彼らは公正なものを使っていませんでした。ソ連時代は大量生産をしたかったのでクヴェヴリは風味付けには時間と労力がかかり、採算が合わなかったのでステンレス、セラミックを使いました。
現在ジョージアではステンレスを使っているワイナリーは少なくなりましたが、ステンレスの良さもあります。このカフリ・ナンバー8ではソ連時代の作り方で初心者向けに作っています。クヴゥヴリと比較して労働集約的でないため、価格も比較的安く抑えられます。
-
Teliani Valley Kakhuri No.8テリアニ・ヴァレー カフリ NO.8
『カヘティ地方』の良いとこどり!4つの品種のハーモニーが絶妙なオレンジワイン!優しい味わいでジョージア・オレンジの入門にピッタリ!
- 生産地
- ジョージア(グルジア) / カヘティ地方(東部)
- タイプ
- オレンジワイン / 辛口
- 品種
- ルカツィテリ、カフリムツヴァネ、ヒフヴィ、キシ
- 生産年
- 2022年
商品コード: geo0117
希望小売価格(税込):¥2,827
セール特価(税込):¥2,265
- 生産地
- ジョージア(グルジア) / カヘティ地方(東部)
- タイプ
- オレンジワイン / 辛口
- 品種
- ルカツィテリ、カフリムツヴァネ、ヒフヴィ、キシ
- 生産年
- 2022年
■テリアニ・ヴァレー ツォリコウリ 10周年記念シリーズ(レチフミ地方)
伝統的な製法で6ヶ月間果皮浸漬発酵させた後、樽熟成させました。レチフミでは通常、マセラシオンの際に皮を少なくするのが一般的なんです。
通常マセレーションする時、一般的な作り方では果皮は全部入れなくて、一部だけ果皮を入れます。白ワインとオレンジワインを混ぜているような感じです。しかし、私たちは100%の果皮を使います。
レチフミはジョージアの西北部で全般的に山が多く標高が高い。そのため、この地域は吹く風が強い。海抜800メートルくらいです。だから、よりフレッシュなワイン、アルコール度数の低いワイン、よりフレッシュで花のようなアロマを持つワインができます。
伝統的なワインと比べると、色が薄いのがわかリます。レチフミ地方は日照量も少なく、果皮のフェノール化合物も少ないからです。そして、とてもアロマティックで心地よい香りがします。それほどパンチはないし、タンニンも強くなく丸みを帯びています。
ー ツォリコウリは酸が強いイメージですが
樽で醸造することにより、全体的に優しい印象になっています。果実感もそれほど強い品種でないですが、旨くまとまっているでしょ?
-
Teliani Valley Tsolikouri 10th Anniversary Seriesテリアニ・ヴァレー ツォリコウリ 10周年記念シリーズ
樽熟成とクヴェヴリ醸造を組み合わせた新しいジョージアワイン!柔らかい果実感とタンニンで飲みやすい仕上がり。
- 生産地
- ジョージア(グルジア) / ラチャ-レチフミ地方(西部)
- タイプ
- オレンジワイン / 辛口
- 品種
- ツォリコウリ100%
- 生産年
- 2021年
商品コード: geo0118
希望小売価格(税込):¥4,070
販売価格(税込):¥3,562
- 生産地
- ジョージア(グルジア) / ラチャ-レチフミ地方(西部)
- タイプ
- オレンジワイン / 辛口
- 品種
- ツォリコウリ100%
- 生産年
- 2021年
■テリアニ・ヴァレー クラフナ 10周年記念シリーズ(イメレティ地方)
さて、次はイメレティ地方に移りましょう。イメレティ地方はレチクミ地方より少し標高が低く少し東側に位置します。
そしてこの品種は、イメレティ産のクラフナという典型的な品種を使用しています。
グラフナを食べたことがありますか?
名前の由来を知っていますか?
ー ワインは飲んだことがありますが、葡萄は食べたことがないですね。
クラフナを食べると分かるのですが、果皮が非常に厚いのです。
クラフナの名前は皮の厚さに由来するという伝説があります。果皮が分厚くて、食べるときは「クラック」という音がする。それでクラフナという名前になったという伝説があります。
ー へぇ~それは知りませんでした。クラフナは渋みが強いのはそのせいですか?
その通りです!
このワインもクヴェヴリの伝統的な6ヶ月熟成ですが、2月に熟成を終えたワインをフランス産の樽で12ヶ月熟成させました。
だからクヴェヴリのワインに期待される、これらのタンニンとこのパンチの効いたキャラクターは樽によってバランスが取れています。オークの影響は感じますが強すぎはしません。
色が濃いのは、この産地『イメレティ』のものだからで、香りのプロフィールが(ほかのワインと)まったく違うのがわかるでしょう。
クラフナならではのアロマ、リンゴ、石果、レーズンのような黄色い果実のアロマがまだ感じられます。ドライフルーツ、干し草、しかし同時にオーク樽からくるバランスもある。
そして味わうと、口の中を乾燥させることなく、完全に滑らかでベルベットのようです。
伝統的なクヴェヴリのワインでありながら、より洗練され、外国人顧客にも受け入れられるクヴェヴリワインを作りたかったからです。
しかしジョージアのワインを味わったことがない人や、もっと丸みを帯びたものを好む人にとっては、ここからジョージアのワインを紹介して、キシやルカツィテリなどの通常のシリーズのグレフリを飲んでもいいでしょうね。
-
Teliani Valley Krakhuna 10th Anniversary Seriesテリアニ・ヴァレー クラフナ 10周年記念シリーズ
樽熟成とクヴェヴリ醸造を組み合わせた新しいジョージアワイン!豊富なタンニンを樽がまろやかにしてくれるリッチで飲み応えのある1本。
商品コード: geo0119
希望小売価格(税込):¥4,323
販売価格(税込):¥3,783
■テリアニ・ヴァレー キンズマラウリ
最後に、キンズマラウリをご紹介しましょう。キンズマラウリはご存じですか?
ー もちろん!中甘口で美味しいですよね。葡萄屋のお客様も大ファンですよ!
ありがとうございます。
この赤ワインはこのPDOキンズマラウリから造られ、標準的なステンレスタンクで1週間果皮とともに発酵させ、発酵の途中で温度を下げて発酵を止めます。
スパイシーな料理にも合うが、チョコレートとの相性もいい。見ての通り、とてもフットワークが軽く、ベリーやチェリーにも合う。
ワインの知識があまりなかったり、初めて飲んだりする人にもいい。だから飲みやすいし、何もつけずにそのまま飲めるワインのひとつです。セミ・スイートだから、さっきも言ったように、少し低めの温度で飲むことをいつも勧めています。
温度は12度から10度くらいが良いです。温度が高いと甘さが鈍くなり、フレッシュさが失われ、足腰の強さが失われます。
甘口の赤ワインに必要なものをすべて備えていて、私が美食ワイン、複雑なワインと呼んでいるもののすべてのポイントを満たしています。このワインは毎日飲むのに良いワインです。
-
Teliani Valley Kindzmarauliテリアニ・ヴァレー キンズマラウリ
熟したブラックチェリーの果実味たっぷり!ピュアで優しい味わいの中甘口赤ワイン。
- 生産地
- ジョージア(グルジア) / カヘチ地方(東部) / キンズマラウリ
- タイプ
- 赤ワイン / 中甘口(セミスイート) - フルボディ
- 品種
- サペラヴィ100%
- 生産年
- 2022年
商品コード: geo0116
希望小売価格(税込):¥2,970
販売価格(税込):¥2,673
- 生産地
- ジョージア(グルジア) / カヘチ地方(東部) / キンズマラウリ
- タイプ
- 赤ワイン / 中甘口(セミスイート) - フルボディ
- 品種
- サペラヴィ100%
- 生産年
- 2022年
品種の由来など勉強になりました。これからも美味しいワインを日本にご紹介してくださいね。
3.まとめ
ジョージアワインはクヴェヴリにだけ目が行ってしまいがちですが、ヨーロッパ方式、樽を使ったもの、樽とクヴェヴリ両方を使ったものなど、生産者さんの工夫と相違が、美味しさをさせているのだと実感しました。ぜひ、新しいジョージアワインもお楽しみ頂けると嬉しいです。